3. 5%の真実
この世界で生きていくためには若いうちにバケモノのようなレベルの人達に囲まれていた方がいいと思っていた。
その人達と関わるには、やはり結果しかないと考えていた。
幸いまだ若く体も元気、やる気も十分にある。
大量の実験をし、1日に何本も論文を読む日々が続いた。
そんなある日、"ヤツ"に呼び出される。
どうやら自分が思っている方針と結果が少し違っていたようだ。
「再現はとってある」。
すると「もう1回だけやってみてくれ。その時この条件も追加で」
と言いつつメモを渡してきた。
正直面倒な内容ではあったが実施することにした。
やはり同じ結果になる。
それを伝えると「数を増やしてもう1回やろう」
その繰り返しだった。
日に日に"ヤツ"の顔は険しくなる。
しかしある日、"ヤツ"が望むような結果が偶然とれた。
「さすが俺!じゃあ次はこれをやって、こういう結果が出るか見てくれ」
こう言われて私の嫌な予感は的中した。
"ヤツ"はストーリーありきで研究を進めようとしている。
先の偶然の結果についてはほぼ再現が取れない。
20回やって1回出るかどうか。
「それなら60回やれば3回データとれるだろ」
そのような趣旨のことを言われた。さすがにこれには反論し、その場は収まった。
しかし、ここから"ヤツ"の暴君ぶりはエスカレートしていった。