斜め上の科学

表面的にしか伝わりにくい科学のことをわかりやすく丁寧に、、受験勉強についても書きます

幹細胞治療の躍進

さてさて

そう言えば昨日、幹細胞治療に関するニュースが2報ありました。

 

1.アメリカの研究チームが人の細胞を持ったブタの退治を作成することに成功

2.日本の研究チームが異種動物間での細胞治療に成功

 

これらの話題は以前にも少しお話ししました。

 

scimnography-xxx.hateblo.jp

 

scimnography-xxx.hateblo.jp

 

 

1の方ですが、臓器再生の記事で紹介した東京大学の中内先生も取り組んでいたデーマです。

これは記事にもあるように、受精卵にヒトiPS細胞を混ぜることでヒトの細胞が混ざった状態で仔ブタが産まれてくるといった内容です。

 

マウスの体内でラットの臓器を、また逆にラットの体内でマウスの臓器を作ることには成功していたのですが

ヒトの細胞が入った個体は初めてです。

これは臓器移植のドナーが見つからず困っている患者さんに臓器を届けられるようになる可能性が大きくなると思ってよいでしょう。

 

ですが、ニュースで報じてはいなかったのですが

以前の記事にも書いたように異種動物の

言わばハイブリッドされた受精卵なわけですから

同然全身がキメラ(混ざり物)の状態です。

 

これで移植しようものならブタの臓器をヒトの体が異物として認識し

免疫力で除去しようとしてしまいます。

免疫拒絶が移植の最大の問題といっても過言ではないので

この問題をクリアこと、標的とした臓器が完全にヒトの細胞に完全に置き換わっていること

などが今後の研究課題でしょう。

 

2つの異種動物間での細胞治療は、先にも名前をあげた中内先生らの成果です。

これはマウスの幹細胞(ES細胞やiPS細胞)をラットの受精卵に移植し、

産まれた仔ラットから臓器を摘出、そして細胞を病気を持ったマウスに移植して

治療を行うというものです。

ここでは糖尿病のマウスへの膵島(インスリンなどを作る細胞)を移植しています。

 

これを聞くと

『ん?でも受精卵に他の動物の細胞を混ぜたら産まれてきた仔は混ざり物の状態って言ったよな?』

と思う方もいるでしょう。

 

実は最初に使ったラットの受精卵に細工がしてあり

遺伝子編集により膵臓をつくれなくしているのです。

となると仔ラットの体内はラットとマウスの細胞の混ざり物になりますが

膵臓だけはラット由来のものはなく、マウスの細胞に由来するものになります。

こうなるとマウスに移植しても異物として認識はされないので体内に生着します。

 

これもかなり画期的な技術でヒトにも応用出来る可能性はかなり高いと思います。

というのも臓器を丸ごと置き換えるにはさっき言ったように

ブタなど他の動物の細胞が混ざっていると拒絶されますが

細胞の移植ならヒトの細胞だけを単離する技術もありますし

万が一、(考えたくはないですが)ブタの細胞が混ざったとしても

それだけが拒絶、排除され、ヒトの細胞は生着します。

 

その万が一は本当に想像したくないですが……

 

何はともあれ最近再生医療の分野が活発でいいことです。

以前上げた網膜色素変性症や今回の糖尿病といった

対処療法しかなかった病気も完治できる可能性が見えてきました。

 

ただ、日本では倫理的な問題が厳しく、ヒトES細胞やiPS細胞の使用可能範囲が諸外国に比べ狭いのが問題です。

これでは日本の研究者が思ったように研究ができず、特許も外国に持って行かれてしまいます。

ですが、再生医療の分野は日本はかなり強い分野なので

この辺の法の整備も含め、今後の展開に期待したいところです。